アスパラガスの栽培方法とは?初心者でも栽培できる?株分けの方法やプランターでの育て方をご紹介
春から夏にかけて収穫期を迎えるアスパラガス。土や肥料でしっかり土壌を作り、株分けなどを的確におこなえばプランターで育てることができます。収穫期間が数年に及ぶため家庭菜園をじっくり楽しみたい方におすすめの野菜。初心者の方向けにアスパラガスの栽培方法を解説します。
目次
アスパラガスとは?
アスパラガスの特徴
学名:Asparagus officinalis L.
英名:Asparagus
科名 :ユリ科
属名: アスパラガス属
原産国:南欧からロシア南部
アスパラガスは代表的な緑黄色野菜のひとつです。
抗酸化作用があるβカロテン、ビタミンAやB1、B2、C、Eなどのほかに造血作用があるとされている葉酸、
高血圧の予防に効果的なルチンやカリウムなどが含まれています。
また、アスパラガスには「アスパラギン酸」というアミノ酸が多く含まれているのが特徴です。
アスパラギン酸とはアミノ酸の一種で、疲労回復やスタミナの増強などに効果があるとされています。
原産地とされる南欧からロシア南部ではもともと自生していたというアスパラガス。
その歴史は古く、紀元前200年頃には食用や薬として使われるために古代ギリシャやローマで栽培されていたのだそうです。
その後、ヨーロッパに広まり、移民によってアメリカ大陸へ伝わったアスパラガスは、アメリカで広く栽培が始まるようになります。
日本へは江戸時代後半に伝来しますが、当初は観賞用として用いられていて、
食用として栽培され始めたのは大正に入ってからといわれています。
収穫までは時間を要するアスパラガスですが、一度しっかりと育てられれば10年以上収穫できます。
長いお付き合いをする気持ちで家庭菜園を楽しみたい方に、ぜひ挑戦してみて欲しい野菜です。
アスパラガスの種類
その独特の風味がサラダや炒め物、天ぷらなどのあらゆる料理と相性が良く、
活躍の幅が広いアスパラガス。そんなアスパラガスにはさまざまな種類があります。
代表的なのはグリーンアスパラガスと、最近人気のホワイトアスパラガスですが、
この2つは育て方が違うだけで、実は同じ品種です。
ホワイトアスパラガスは遮光した状態で育てるのに対し、
グリーンアスパラガスは日光を浴びて光合成をしながら成長することで、鮮やかな緑色の状態になります。
ほかには、アントシアニン色素が多く含まれる紫アスパラガス、
グリーンアスパラガスを若いうちに収穫したミニアスパラガスなどがあります。
アスパラガスの栽培スケジュール
・種まき期:3~4月
・植え付け期:4~5月、10~11月(大苗)
・収穫期:4~5月(春芽)、6~8月(夏芽)
アスパラガスは毎年、春~夏にかけて若芽を収穫する野菜です。
ただ、植え付けてから1~2年は収穫ができません。
1~2年かけてじっくりと株を成長させ、3年目を目安に収穫をスタートさせましょう。
アスパラガスは、最初の収穫までは3年ほど必要ですが、
1度植えてしまえばその後10年ほど収穫することができます。
種からでも育てられますが、家庭で栽培する場合はホームセンターなどで苗を購入するのが一般的です。
苗には小苗と大苗がありますが、苗を植え付けたその年から収穫したい方は大苗を購入しましょう。
大苗はすでに数年間栽培された状態の株なので、収穫をはやく楽しみたい方におすすめです。
アスパラガスに適した環境
置き場所(日当り)
アスパラガスの成長には日光が欠かせません。
植え付けたあとはできるだけ日当たりのよい場所にプランターを置きましょう。
用土
アスパラガスは、中性~弱アルカリ性の土を好み、酸性の土壌とは相性が良くありません。
また、アスパラガスは肥料を好むので、市販の野菜用の土に苦土石灰と堆肥を混ぜることをおすすめします。
野菜の生育に適した有機培養土
初心者でも扱いやすい堆肥配合の培養土は、有機質で安心して栽培できます。
プランター
アスパラガスは根を深く張るので、プランターのサイズは幅60cm以上、深さ30cm以上のものを選びましょう。
アスパラ栽培に最適な深型プランター
ベランダ栽培でも邪魔にならない、シンプルなプランターです。
アスパラガスの育て方
水やり
アスパラガスは水分を多く必要とします。
ただし、水のやり過ぎは根を腐らせる原因にもなるので、土の表面が乾いてきたら、水はけの状態を確認しながらたっぷりと与えてください。
なお、冬場は休眠期に入るため水やりは控えめに。
土が乾かない程度に様子を見ながら与えるようにしましょう。
肥料
アスパラガスは、水分と同様に肥料を大変好む野菜です。
植え付けるときはあらかじめ有機肥料をたっぷり混ぜ込みましょう。
1回目の追肥は休眠期が明けて芽が出はじめる5月頃に。
2回目の追肥は再び芽が生えてくる9月頃におこないます。
まくだけOKな粒状肥料
有機分をふんだんに含んだ野菜肥料で、おいしい野菜を育てます。
病害虫
・病気
茎枯(くきがれ)病
茎枯病とは、土中のカビが原因で引き起こされます。
茎枯病にかかると、初期症状では茎に縦長の小さな斑点ができます。
その後に褐色の斑点になり、進行すると根が腐ってやがて株全体が枯れてしまうことに。
一度発生してしまうとほかの株にも伝染してしまいます。
とくに梅雨時や台風のシーズンに発生しやすい病気なので、早期発見に努めましょう。
藁やマルチなどで泥はねを防ぐのも効果的です。
また、風通しが悪いと病気になりやすいので、茎同士が混みあわないように注意が必要です。
・害虫
ジュウシホシクビナガムシ
テントウムシに似た赤地に黒い模様を持ち、細長い形をした虫がジュウシホシクビナガムシです。
幼虫も成虫もアスパラガスを食べ、そのままにしていると地上に出ている部分を食べつくしてしまいます。
大量に発生するので、発見したら農薬で駆除してください。
アスパラガスに発生しやすいほかの害虫として、下記のカイガラムシ、ヨトウムシ、アブラムシなどが挙げられます。
アスパラガスの詳しい育て方
種まき
種から育てる場合は、次の手順でおこないましょう。
アスパラガスの発芽に適している気温は25~30度のため、3~5月が種まきに最適です。
なお、種はあらかじめ一晩30度ぐらいの水につけておくと発芽率を上げるのに効果的です。
1.約9cm幅のポットに、アスパラガスの種を2~3粒まきます。
そこに5mmほど土を被せ、たっぷり水やりをします。
2.水やりをしたポットは乾燥しないように、新聞紙などで上部を覆いましょう。
発芽するまで乾燥に注意して管理してください。
種をまいてから芽が出るまでには20日程度かかりますが、その間、30度以上にならないように管理しましょう。
3.発芽したら新聞紙を取ります。
草丈が10cmほどに成長したら、1本ずつポットに移して1年間はそのまま育てましょう。
植え付け
苗の植え付けは、春(4~5月)か秋(9~10月)が適しています。
この時期までにプランターや土、必要な肥料などを揃えておきましょう。
1.プランターの底には底石を入れ、3cmほど土を入れておきます。
2.プランターの底から流れ出るまで水をかけ、さらに土を5cmほど加えます。
このとき、化成肥料も合わせて入れるようにしましょう。
3.芽がプランターの中心に来るようにして、根株をなるべく大きく土の上に広げます。
4.土を5cmほどかけたら、水をたっぷりと与えてください。
定植後は成長にしたがい背が高くなり、倒れてしまう可能性があるので、支柱を立てて管理しましょう。また、肥料を与えることで雑草も育ってしまうので、その都度取り除くようにしてくださいね。
収穫
アスパラガスは、種から育てた場合、収穫できるのは植え付けから3年目になります。
収穫時のアスパラガスの大きさの目安は、15~20cm。スーパーで販売しているぐらいのサイズです。
収穫は、株元をナイフなどで刈り取ります。
春に収穫しはじめたら6月中頃で収穫を一旦止めて、来年のためにそのまま育てましょう。
株分け
アスパラガスは深く根を張る植物なので、長年同じ状態で栽培していると、プランターの中で根が混雑してしまいます。
そのままだと細い茎ばかりになってしまうので、株分けが必要です。
株分けは、3月頃におこないます。
プランターから株を抜いて傷んだ根を丁寧に取り除き、手で2~3つにそっと分割したら、栄養が豊富な新しい土にそれぞれ植え付けましょう。
プランターでの栽培方法は?
必要な道具
・アスパラガスの苗
・プランター
幅60cm以上、深さ30cm以上の大きめのもの。
長年使うことを考えて、しっかりしたものを選びましょう。
・用土
アスパラガスは酸性土壌を嫌うので、市販の野菜用の土に苦土石灰を混ぜて調整しましょう。
また、アスパラガスは肥料が重要なので、堆肥も忘れずに用意してください。
・鉢底石(はちぞこいし)
軽石や黒曜石などを原料としている石のことです。
プランターの底に敷くことで排水や通気性を良くし、根腐れの防止などに効果的です。
・支柱
アスパラガスが成長し、背が高くなってきたころに倒れるのを防ぐために支柱を使います。
その他、液体肥料や園芸に必要な水やり道具、グローブ、スコップなどを準備しておきましょう。
栽培の手順
1.プランターの底に鉢底石を敷き、調整済みの培養土を入れます。
苗を植えるときは40cm以上の間隔をあけますが、プランターの場合は、1つのプランターにつき苗1株が目安です。
2.根が見えなくなるまでしっかりと土をかぶせ、水をあげます。
3.苗を植え付けたあとは、日当たりの良いところにプランターを置いて、毎日水を十分に与えましょう。
アスパラガスは肥料を特に必要とするので、水やりのときに液体肥料をあげてもよいでしょう。
4.アスパラガスの背が高くなってきたときのことを考え、倒れないように支柱を立てておきます。
アスパラガスが15~20cmに育ったら収穫のタイミング。
最初は60日間程度収穫したら、あとは収穫せずにそのまま育てましょう。
5.冬の間も水やりを欠かさないようにして、2~3月頃に追肥をします。
虫がついていないかなどこまめにチェック欠かさずに。
こうすることで、春になると新しい芽がまた出てきます。
栽培するときの注意点
アスパラガスはたっぷりの水と肥料を好みますが、与え過ぎは根が腐ってしまう原因にもなります。
特に梅雨時などは雨の当たらない場所に移動させるようにしましょう。
寒さや風通しが悪いと茎枯病などを引き起こしやすくなるため、プランターの置き場所は風通しのよい場所を意識してくださいね。
失敗しないための注意点は?
種をまいてから1年目で細いアスパラガスに成長しますが、収穫はしないでそのまま育てます。
これは、アスパラガスの株を十分に養成する必要があるため。
大苗から植え付けた場合も、収穫期間は2週間ほどにとどめて収穫量を少なくし、その後は来年のために育てていきましょう。
冬になると葉や茎が枯れてくるので、12月頃に剪定しましょう。
このとき、株元から10cmほどのところで刈り取ります。
刈り取った部分は5cmほど土で覆い、保温と保湿のために藁などを乗せておきましょう。
じっくり育てて収穫の喜びを味わおう!
アスパラガスは、植え付けてから本格的に収穫できるようになるまで3年ほどかかります。
じっくりと時間をかけて育てた分、収穫の喜びはひとしおですね。
種から育てるのが難しい場合は、苗を購入して植え付けてみましょう。
初心者の方は、すでにある程度成長した大苗から栽培をスタートするのがおすすめです。
うまく育てることができれば、10年以上収穫を楽しめるアスパラガス。家庭菜園にじっくり取り組みたい方は、ぜひ挑戦してみてくださいね。