スイカ(西瓜)の育て方とは?初心者でも栽培できるポイントをご紹介
スイカの育て方をご存じでしょうか。苗からであれば、家庭菜園でも簡単に育てることができます。小玉サイズなら、場所を取らないプランター栽培も可能です。化学肥料や育てやすい品種選び、さらに人工授粉の方法も覚えて、種から育てたスイカを収穫してみませんか。
目次
スイカ(西瓜)とは?
スイカ(西瓜)の特徴
・学名:Citrullus lanatus(Thunb.)Matsum. et Nakai
・英名:Watermelon
・科名 :ウリ科
・属名: スイカ属
・原産国:南アフリカ
スイカは、果糖やブドウ糖などの糖質が多く含まれており、疲労回復に効果があります。
栄養豊富で、ビタミンA、B1、B2、Cなどが含まれています。
また、カリウムやリンといったミネラルもたっぷり含んでおり、夏バテ防止におすすめです。
市販の苗からであれば、家庭菜園初心者の方でも収穫まで比較的簡単に育てることができますよ。
スイカ(西瓜)の種類
・大きさ:大玉、中玉、小玉
・形:球形、楕円形
・縞模様:あり、なし
・皮の色:緑、黒、黄
・果肉の色:赤、黄、白など
人気があり、主流となっているスイカは、大玉・球形・縞模様・赤い果実のものです。
他にも、種なしスイカなど多種多様な種類があるので、育てたい品種を選んでくださいね。
「愛娘」
小玉の種類に入りますが、実際栽培するとかなりのサイズになります。
そのため、中玉程度と覚えておくと良いでしょう。
噛みしめるたびに口の中に強い甘みが広がります。皮の際まで甘く、白い部分がほぼありません。
「こつぶっこ」
栽培しやすく、普通の小玉スイカの1/4程度のサイズとなります。
栽培のしやすさ・味ともに一級品と言えるでしょう。
「シュガーベイビー」
ヨーロッパでは有名な品種です。
肥料がなくても栽培でき、栽培にそれほどの手間がかからないところが特徴的。
ただし、つる割れ病にかかりやすいところが難点です。甘いスイカが好きな方にはおすすめです。
「大和」
奈良生まれの日本を代表するスイカです。
着果から25~30日で収穫できるという早生種であり、甘みがかった優しい味が特徴的です。
縞がないのが在来系統、縞があるのが「新大和」となります。
「ブラックジャック」
種なしスイカです。種なしとはいえ、白みがかった柔らかい種子はいくつか見られます。
スイカ(西瓜)の栽培スケジュール
・土づくり期:3月中旬
・種まき期:4~5月中旬
・植え付け期:5月中旬~6月中旬
・収穫期:7月中旬~8月下旬
スイカ(西瓜)に適した環境
置き場所(日当り)
スイカは、高温・強光・乾燥を好むため、排水が良く日当たりの良い場所で育てるようにしましょう。
生育適温は、23~30℃です。
12℃以下になると生育が止まってしまい、霜に当たると枯れてしまいます。
用土
スイカは、日当たりが良く、水はけのよい土を好み、酸性土壌は好みません。
まずは堆肥と化成肥料を混ぜておきましょう。つる割病を防ぐために、苦土石灰を一緒に混ぜてPHをコントロールする必要があります。
【準備】
・堆肥:1㎡あたり2~3kg
・苦土石灰:1㎡あたり100g
・化成肥料:1㎡あたり150g
プランター
地植えが好ましいですが、25L以上の大型であればプランターでの栽培も可能です。また、プランターではなく大型サイズの植木鉢でも育てることができます。
ただし、小玉種を選んだり、支柱を立てたりするなど、ある程度の重さに耐えられるようにする工夫が必要となります。
シンプルな見た目がベランダ菜園にも最適
通気性抜群!
土の容量が約25Lの長角プランターです。
スイカ(西瓜)の育て方
水やり
畑の場合はしおれでもしない限り、水やりをそれほど必要としません。
様子を見ながら、水やりを行いましょう。
病害虫
・病気
つる割病:つる割病は、果実が肥大している最中、急にしおれて枯れてしまう恐い病気です。乾燥すると茎が割れてくるのがサインです。つる割病は発生してしまったら治ることはありません。そのため、発見しだい抜き取り処分を行います。それから4~5年の間はスイカの栽培ができません。予防には、苦土石灰が重要です。また、ユウガオ台木などへの接ぎ木を行うことで回避することが可能です。
・害虫
アブラムシ:葉がしおれて、黒く汚れてしまいます。新葉に発生することが多く、ツルの伸長も止まってしまいます。
ハダニ:見つけ次第、捕殺することが重要です。害虫対策は、早期発見をすることである程度被害を抑えることが可能です。
スイカ(西瓜)の詳しい育て方
種まき
1. 9~12cmのポリポットに直径4~5cm、深さ1cmの穴をあけて3~4粒の種をまきます
2. 土をかぶせて平らにし、しっかりと水やりを行います
3. 発芽までは、25~30℃に温度を保ちましょう
4. 4日ほどで発芽します
5. 発芽したら、本葉が1~2枚の時に2本になるよう間引きします
6. 本葉が2~3枚になった頃合いで、1本立ちにします
7. 種まきから35~45日後、本葉が4~5枚になったら定植の適期です
植え付け
日当り、風通しが良い場所に植え付けます。
生育温度は、25~30℃です(最低気温10℃、最低地温15℃以上)。
植え付けの適期は、5月上旬ごろです。
連作障害を嫌うので、前回ウリ科の野菜を植えていないか確認することが大切です。
初心者の方や苗数が少なくても良い場合には、苗を購入して植え付けましょう。
ポイントは、本葉が4~5枚でしっかり根が張っている接ぎ木苗を選ぶことです。
植え付け期が少し早い場合は、マルチングをするだけでなくホットキャップをかぶせて保温しましょう。
暖かくなってきたら、上部に穴をあけて換気を心がけます。
つるが伸びてきたら、ホットキャップを外して敷きワラをします。
整枝
親づるは本葉が5~6枚に育ったら、子づるの発生を促すために先端を摘芯します。
第一節の子づるは摘芯し、分枝する太い子づるを3-4本残してその他は摘芯します。
・大玉スイカ:子づるから出る孫づるは2本ほど伸ばします。
・小玉スイカ:葉面積を確保するために、孫づるは伸ばしっぱなしで大丈夫です。ただし、プランターで栽培する場合には、孫づるはすべて取り除くようにしましょう。
追肥
スイカは肥料を好みますが、根が強くないため肥料を与えすぎると、すぐに枯れてしまいます。
そのため、実がつくまでは、基本的に追肥は必要ありません。
苗が活着してつるが伸びてきたら、1回目の追肥を株回りに行います。
次に、実がテニスボールや卵大くらいの大きさになったら、2回目の追肥を実とつる先の間に行います。
プランター栽培の場合は、1回で十分です。
窒素分の与えすぎに注意が必要ですが、1株当たり化成肥料50g(8:8:8)で問題ないでしょう。
葉色が悪い場合など、適宜追肥を行うようにしましょう。
また、米ぬかや油かすなどを株の周囲に施して、除草してから浅く耕す方法もおすすめです。
つるぼけには注意してください。
専用肥料を使えば手軽に栽培可能
アミノ酸や核酸類を多量に含んでおり、味・香り・色み・果肉が一段と充実します。
人工授粉
スイカの確実な着果のためには、人工授粉を行います。
人工授粉は、晴れた日の朝の9時までには行いましょう。
花粉は非常に弱いため、午後になってしまうと受粉能力が著しく低下してしまうのです。
また、晴れた日に行うと良い理由としては、花粉は水に当たると浸透圧ではじけてしまい、受粉できなくなってしまうからです。
子づるに咲いた2番目の雌花と、受粉日当日に咲いたばかりの雄花を使い、人工授粉を行います。
雄花と雌花の見分け方としては、花弁の下部がふっくらと膨らんでいる方が雌花となります。
1株で1~3個、受粉は子づる1本につき1個までとし、その他は摘果しましょう。
1. 雄花の花弁を切り取ります
2. 花粉を雌花の柱頭にこすりつけます
3. 受粉後は、収穫までの日数の管理がしやすくするために、受粉日を記入したラベルなど用意しましょう
4. 地植えで複数栽培している場合には、別株同士の雄花と雌花を人工授粉しましょう
収穫
品種によって異なりますが、一般的な大玉スイカであれば、開花した日から40~45日、小玉スイカであれば、35~40日を目安に収穫しましょう。
購入したタネ袋などで確認すると確実です。
収穫の日を把握するために、受粉を行った日は必ず控えておきましょう。
収穫の10日前(開花後30日過ぎ)くらいに、今まで地面についていた部分を日光に当てるために、玉直しを行いましょう。
玉直しとは、今まで日陰となっていた実の部分を、日が当たる向きに入れ替えることです。
玉直しを行うことで、果皮の着色と果肉の成熟度を均一に保つことができます。
ただし、突然日光を当てると日焼けしてしまう恐れがあるため、2~3回に分けて少しずつ回転させることがポイントとなります。
収穫の目安として、手のひらでたたいたら鈍い音がすることや、着果節の巻きひげが半分枯れること、果実の付いている節の葉舌が黄変したころ、果実の花落ち部がくぼみ、弾力を感じるようになったころなどからも、判断することが可能です。
スイカの収穫期の判断は、実は非常に難しいです。
万が一、収穫しても良いものか自信がないときには、収穫前に試し割りを行って、熟成度を確かめてから、実際に収穫に踏み切ると良いでしょう。
プランターでも栽培できる?
スイカは大きいので、プランターでの栽培は難しいのでは?と思いがちですが、小玉スイカなどであれば、プランターでの栽培も可能です。
また、つる性なのでグリーンカーテンとして栽培したり、支柱を立て、ティピーテントのようにかわいく工夫したりして、育ててみるのも楽しみが広がることでしょう。
プランターで育てる際の注意点としては、下記を参照にしてください。
・家庭菜園初心者は、スイカの苗をホームセンターなどで購入しましょう
・プランターの直径・深さともに30cm以上はあるような、大きなプランターを選ぶこと
・プランターの代わりに植木鉢を使用する場合には、1つの植木鉢に1株ごとにすること
・過湿状態が続くと、土壌病害の発生の可能性も出てくることから、水はけの良い野菜用の培養土を選ぶこと
・用土の量は、水やりを考慮しつつ、八分目程度にすること
・空中栽培がおすすめです。実際、実は空中でできるため、重さに耐えられるようにネットで実を吊るすなど、工夫を凝らしながら育ててみること
スイカを楽しく育ててみよう
スイカ好き必見、栽培方法を紹介しました。
整枝や人工授粉など、栽培がむずかしいのでは?と不安に思う人もいるでしょう。
そんなスイカ栽培初心者の方は、種からのスイカ栽培は控え、苗から育てるのをおすすめです。苗からであれば、初心者であっても上手に育てることができますよ。
自分で育てたスイカを自分で食べるとなると、その美味しさも格別なものであることでしょう。ぜひ、スイカ栽培にチャレンジしてみてくださいね。