失敗しない玉ねぎ栽培方法は?おいしい玉ねぎを収穫するポイントをご紹介!
栄養満点の玉ねぎは、古代エジプトでスタミナ源として重宝されてきました。独特の香り成分である硫化アリル(アリシン)が含まれており、コレステロールの代謝を高める健康成分として注目されています。手軽に手に入る食材ですが、ご自身で育ててみるのも楽しいですよ!
目次
玉ねぎってどんな野菜?
日本に入ってきた時代は長崎県に江戸時代、南蛮船により伝えられたとされていますが、あくまでも観賞用とされ、それほど広まっていくことはありませんでした。
その後、明治時代にコレラが流行した際に、「玉ねぎを食べればコレラにかかることはない」とした噂が広く知れ渡ったことによって、一気にその知名度を上げていくこととなりました。
玉ねぎには、栄養素もたっぷり入っています。
まず、玉ねぎ独特の匂いですが、この成分は硫化アリルというもので、消化液の分泌の手助けを行い、新陳代謝や神経の鎮静化に必要とされるビタミンB1の吸収・活性化を促します。
また、玉ねぎが血液をサラサラにしてくれるというのは一般的にもよく知られているのではないでしょうか。
動脈硬化予防にも効果があるとされています。
栽培においては、耐寒性はあるのですが、暑さには弱いです。
そのため、高温になってくると休眠をします。
また、玉ねぎは連作できるかどうかですが、連作障害が起こりにくい野菜であると言われています。
4年ほどであれば、同じ場所にて栽培することも可能であると言えるでしょう。
玉ねぎの品種
・黄玉種
現在栽培されている玉ねぎは、ほぼこの黄玉種です。
熱を加えると辛み成分が甘み成分へと変化します。
一般的な品種のため手に入りやすく、カレーや肉じゃがなどの煮込み料理に使うのがおすすめです。
・白玉種
中身だけでなく、外側の薄皮も白っぽい色をしています。
とてもジューシーでみずみずしく、辛み成分がまろやかで甘みがあります。
また、柔らかいのも特徴的で、生でも食べやすくサラダなどによく合います。
・赤玉種
別名、紫玉ねぎとも呼ばれています。
紫色をした玉ねぎも、スーパーなどでよく見かけます。
中の皮も赤紫色をしていますが、果肉は白く、包丁などでカットした断面を見てみると、赤紫色と白色の層が何重にも重なっているように見え、見た目もきれいです。
栽培カレンダー
・種まき:9月
・植え付け:11月~12月
・収穫:4月~6月
※品種によって、種まきの時期が違うところがポイントです。
種によって極早生種、早生種、中生種、晩生種といった違いがあります。
・早生(わせ)→収穫は早いが貯蔵性が悪い。
11月中旬~下旬に苗を植えて5月中旬から収穫します。
早生よりも早いのが「極早生(ごくわせ)」。
11月上旬~中旬に植え付け、4月下旬~5月上旬までに収穫します。
・中生(なかて)→普通栽培で、長期貯蔵に最適な品種となります。
11月下旬~12月上旬に苗を植え、6月上旬から収穫していきます。
・晩生→11月下旬~12月上旬に植え、6月下旬に収穫します。
収穫は遅いが貯蔵性が良いとされています。
種まきの時期は苗の大きさ、そして収穫量に関わるほど重要なので、覚えておきましょう。
・早まき→大苗に育ち、とう立ちや分球がおこりやすくなる
・遅まき→収穫量が減ってしまう
玉ねぎは種まきで育てることもできますが、種から苗に育つまでに時間と手間がかかります。
そのため家庭で栽培する際は、11月頃に園芸店で出回る苗を購入して定植するのがお手軽な栽培方法ですよ。
庭植えをする場合、何もせずそのまま植えてしまうと、玉ねぎがうまく育ちません。
なぜなら日本の土は一般的に酸性なので、酸性土壌に弱い玉ねぎにとって、あまりいい環境とはいえないからです。
植えつけの前に苦土石灰等で土を中和したうえで、腐葉土や堆肥などの化成肥料を土に混ぜ込み、保水力と保肥性を高める必要があります。
鉢植えの場合は、野菜用の大型の鉢やプランターを選び、土も野菜用の元肥入りの培養土が手軽でおすすめです。
いい苗を見分けるポイントは、白い根元部分の直径が8mm前後で、草丈が30㎝ぐらいのものを選ぶこと。
根元部分が太い苗は、玉ねぎができにくく、花芽(いわゆるねぎ坊主)が大きく育ってしまい収穫にいたらないことも多いため、選ばない方が無難です。
ただし、あまりに根元が貧弱だと、冬の寒さで枯れてしまうことがあります。
苗を購入する際は、「根元の直径が8mm前後」、これを覚えておきましょう。
また、耐寒性のある玉ねぎですが、北海道などの寒冷地では冬越しが難しいとされています。
そのため、作ることができるたまねぎの種類は限定されますが、春(2月初旬)に種をまいて夏に収穫する、春まき夏どり作型が確実です。
苗の植えつけ後、2週間をめどに一度緩効性の化成肥料等を追肥します。
さらに植え付け1カ月後~2カ月後までに再度追肥すると、大きな玉ねぎに育ちやすくなります。
追肥に関しては、与えすぎても少なすぎても適切に育ちませんので、適量を守って与えるようにしましょう。
収穫のタイミングは品種によって若干異なりますが、一般的には地上部の葉が8割ほど倒れたらベストだとされています。
収穫が遅くなるとせっかく育った玉ねぎが腐ってしまうこともあるので、収穫時期が近づいたら、こまめに玉ねぎの様子をチェックしましょう。
玉ねぎ栽培のポイント
日当たり・置き場所
生育適温:15~20℃
置き場所:直射日光の当たらない、風通しの良い場所
加湿に注意しつつ乾燥させすぎないようにすればプランターでの栽培も可能です。
用土
さらに水はけの良い土壌を選びましょう。
土作りの方法
・栽培の2週間前に苦土石灰を入れて耕す(目安は、ph5.5~6.5)
・植え付け1週間前に元肥料を入れて、株間15cmほどを確保しつつ畝を立てます
ポイントとして、玉ねぎは収穫までの時間が長いので、雑草対策として黒いマルチを張っておくと便利です。
袋で育てる玉ねぎ用土
根の張りが良くなるリン酸成分が多く含まれています。
種まき
玉ねぎは種からでも育てられますが、手間がかかるので初心者には不向きです。
育苗ポットでも可能なので、まずは育苗から始めると良いでしょう。
畑の場合、1㎡あたりに堆肥を2キロ、苦土石灰を100グラムほど施して、耕していきます。
種同士の間隔は、約8cm程度。
重ならないように隙間なくまいていきます。
そして、5mm程度の覆土を行い、しっかり水やりを行います。
乾燥予防や保温にもなるので、発芽するまでは新聞紙やマルチがけをすることをおすすめします。
15℃前後の気温を維持すると良いでしょう。
育苗
間引きのタイミングは、草丈で判断します。
草丈が3~4cmの時に、2~3cm間隔に間引きます。
太さが6mm~8mmほどの苗を選びましょう。
細すぎると玉ねぎ自体も小さく育ってしまうことがあるようです。
玉ねぎが大きく育つために、最終的に株間は12cm~15cmになるようにしましょう。
・追肥
種まき2週間後から定植前の期間、2週間おき程度に1㎡あたり40グラムを目安として株分けに追肥、土寄せを行いましょう。
・ねぎ坊主の対処法
玉ねぎには、一定の大きさのある苗がしばらくの間低温にさらされていると、「とう立ち」してしまいます。
そうした性質から、本来収穫期後にとう立ちするはずであったものが、早々と収穫期の前におこってしまい、ねぎ坊主(花芽)ができてしまうことがあるのです。
このねぎ坊主をそのまま放っておくと、玉ねぎの中に固い芯ができてしまい食べることができなくなってしまいます。
そのためねぎ坊主を見つけ次第、すぐに摘み取るように注意しましょう。
また、とう立ち以外でねぎ坊主ができる原因としては、肥料不足が挙げられます。
ねぎ坊主の数がやたら多いと感じる場合には、定期的な追肥を行うことをおすすめします。
定植
定植のタイミングですが、草丈が20~25cmほどになったら、根元が鉛筆ほど太さの苗を植え付けます。
定植の株間は、12~15cm間隔程度の間をあけましょう。
深植にならにように、白いところが見える程度に植えるのがポイントです。
水やり
しかし、回数が多すぎると過湿になる可能性があるため、注意が必要です。
種まき後は、発芽するまで乾燥させないようにします。
定植後は、やや乾燥気味になるのがベスト。
冬になり晴れの日が1週間以上ほども続く場合には、しっかり水やりをします。
冬場の水やりのタイミングは、午前中におこないましょう。
夕方になり土の表面が乾いていれば、夜間に凍結することがありません。
春になり気温が上昇していくと、どんどん成長していきます。
その分、用土は乾燥しやすくなるため、晴れている日にはたっぷり水やりしましょう。
水やりの頻度は、毎日与えても問題ありません。
肥料(追肥)
関東では、3月上旬に追肥を行うようにしましょう。
追肥には化成肥料を散布すると良いです。
追肥の回数は、水で薄めた液肥を週に一度程度行いましょう。
マルチの場合は、1穴ずつ化成肥料をひとつまみほどまいていきます。
止め肥(最後の追肥)が遅すぎると、適切な収穫のタイミングを逃してしまうため気を付けましょう。
また注意点として、腐敗の原因となるため、4月以降の追肥は絶対に行ってはいけません。
しかし肥料不足だと、玉ねぎが大きく育たないこともあるため、適切な期間に追肥を行いましょう。
野菜が丈夫に育つリン酸肥料
連作障害も予防にも最適です。
冬越し
霜柱ができてしまうと、玉ねぎの苗が地面から浮いてきて枯れてしまうため、注意しなければなりません。
霜柱を避ける方法としては、玉ねぎの苗と土を圧着させるように手で押し付けたり、足でそのままドンドンと踏み固めたりといった作業を行うと良いでしょう。
マルチをしていない場合、防寒・雑草対策として、株元にもみ殻や腐葉土をまくようにしましょう。
冬の寒さに耐えることによって、玉ねぎは成長をしていきます。
収穫
玉が十分に大きくなり、葉が倒れるときが「収穫期」です。
倒れてしまった葉が枯れきる前に、収穫しましょう。
倒れたものから収穫していくのが通常ですが、一気に収穫したい!ということであれば、全体の8割程度の葉が倒れてから収穫すると良いでしょう。
収穫方法としては、葉のつけ根をつかみ、真上に引っこ抜きます。
それでも抜けない場合には、株の周囲にスコップを入れながら根を切っていくと、簡単に引き抜くことができますよ。
無事に収穫を終えたら、3日程度畑などに並べて乾燥させましょう。
注意点として、雨などで土が湿った状態では収穫後に傷んでしまう原因に繋がります。
そのため、収穫するなら晴れた日に行なうようにしましょう。
貯蔵(保存)
乾燥後は、茎を5~10cm程度残してから葉を切るようにします。
茎葉周辺を紐で結び、5~10個のつり玉を作りましょう。
束で乾燥させて風通しの良い場所に吊るしておくだけで、玉ねぎの長期保存が可能となります。
玉ねぎは濡れると腐りやすくなるため、雨が当たらないところで乾燥させることが大切なのです。
病害虫
病気
葉先から黄色くなっていきますが、この段階では通常判断がつきません。
そして、徐々に白カビが出現します。
・予防法
畑の水はけを良くしておくこと。
・対処法
万が一、べと病の発生が発覚した場合には、3月中旬~下旬ごろに罹病株を引き抜いてしまいましょう。
さもないと、3月下旬以降、べと病は活発になっていき、どんどんと浸食していってしまいます。
おすすめの薬剤は、ジマンダイセン水和剤やダコニール1000など。
重要なのは、3月下旬に散布することです。
害虫
体長わずか1~2mmほどの小さな成虫・幼虫で、寄生して吸汁加害します。
完全に駆除することは難しく、葉や新芽に表れたものを発見しだい、こまめに摘み取っていきましょう。
また、アブラムシにも注意が必要です。
農薬では、「ペニカ水溶剤」などがおすすめです。
予防としては、発生源となる雑草を除去することです。
また、成虫は反射光を嫌うためにシルバーマルチを敷く、光反射テープを貼るなども効果的と言えるでしょう。
さらに、コンパニオンプランツ(カモミール)を同時に植えることで、ネギアザミウマなどの被害を一身に引き受けてくれます。
家庭菜園で玉ねぎを育ててみましょう!
そんな玉ねぎを自宅で栽培することができたら、頼もしいことはありませんよね。
コツさえ掴めば、家庭菜園初心者の方でもおいしい玉ねぎを収穫することができますよ。
ぜひ、自分で育てた玉ねぎをご家庭のテーブルに並べてみてくださいね。