春の球根の代表花「アネモネ」はどうやって育てる?アネモネの基本情報から栽培のポイント徹底解説
早春から色とりどりの花が咲き、春の訪れを感じさせてくれるアネモネ。赤、ピンク、青、紫、白などカラフルな花びらがパッと開き、春の庭やベランダを明るく演出してくれます。初心者にも育てやすく、水はけが良く日の当たる場所で肥料を多めに与えれば、何年も楽しめますよ。
目次
アネモネとは?
アネモネの基本情報
アネモネは、地中海原産のキンポウゲ科・アネモネ属・イチリンソウ属で、冬から春にかけて赤や紫色などの鮮やかな花をつける多年草植物です。和名:ボタンイチゲ、ハナイチゲ、ベニバナオキナグサになります。
ヨーロッパではギリシャ神話をはじめ、数々の神話や伝説に登場するお花としても知られていますが、ギリシャ語で「風」を意味する言葉から名づけられ、ギリシャ神話に出てくる美少年アドニスが流した血からこのアネモネが咲いたと言われています。また他にもギリシャ神話で風の神ゼフュロスと恋に堕ちた妖精アネモネに由来するという説もあるようです。
アネモネは、ヨーロッパでは昔から、美しさと儚さからきている花だといわれており、花言葉もそんな由来から表現された言葉が目立っています。
アネモネの花言葉
春の始まりを表す季節に花を咲かせることから、英語では「WindFlower」風の花ということばもあるそうですよ。
■赤いアネモネ…君を愛す
■白いアネモネ…真実・期待・希望
■紫のアネモネ…あなたを信じて待つ
アネモネの特徴
花は一重咲きや八重咲きがあり、花色は白・ピンク・赤・紫・青など多彩でカラフルなお花です。
草丈は10~15センチ程ですが、中には1mを超す大きいものが生育される場合もあるようです。
色味がはっきり目立つ色なのでガーデニングをより一層華やかに演出してくれます。
アネモネの品種は100種類以上あり、毎年のように新しい品種ができています。
以前はアネモネといえば発色のよい色!というイメージでしたが、最近はパステル系の品種もあり、花のサイズも大輪のものから小輪のものまで豊富に揃うようになってきました。
また、この見た目からは想像できないのですが、「プロトアネモニン」という毒を持ち、茎を切った時に出る汁が肌を伝うと炎症が起こります。花を触るときはゴム手袋をして、むやみやたらに触ることは控えた方が良いかもしれません。
アネモネの品種
「花冠」の意味をもつ地中海原産。和名はボタンイチゲと言い、バラエティーに富んだ数の品種があるのが特徴です。
■アネモネ・フルゲンス
「かがやきのある」という意味を持つ、野生種同士が自然に配合してできた品種。
■アネモネ・ブロンダ
地中海沿岸原産で、小菊のような愛らしくて小さな花が特徴。
■アネモネ・デカン
ポピーのような5,6枚の花をつけることが特徴。切花に良く使われているので一番見かける人も多いのではないでしょうか
■アネモネ・セントブリッジ
細く数の多い花弁が特徴的です。背花が小さいので結構目立つことも。デカンのような花弁が大きい花と一緒に育てると目立って可愛いですよ。
■モナリザ
大きくて薄い花弁で、八重咲きをするのが特徴的な花。デカンに比べて、花弁の形が優しい雰囲気を醸し出していますので「柔らかい」と表現されることも多いのだとか。
開花時期
植え付け・植え替え
基本は球根から育てることが一般的で、10月に植え、種まきは9月頃に行います。
気温が高い10月までは、球根は植え付け前に吸水処理をしておくと失敗が減ります。11月以降は、吸水処理をしないで植え付けても大丈夫です。なお、掘りあげて間もない球根は吸水処理の必要はありません。
事前によく耕しておいた土に、15cm間隔で深さは3~5cmを目安に植え付けましょう。降雪地帯では、それよりも深く埋めたほうが安全です。
アネモネの球根の形は、上下がわかりにくい、ユニークな形をしています。デカンやモナークなどの品種は、尖ったほうを下にします。他の形をした品種もあるので、説明書きがある場合は、必ず読んでから上下を確認しましょう。もしわからない場合は、横向きに植えるのも手です。
アネモネの球根は、乾燥したまま植え付けると、急な吸水により球根がひび割れて腐ってしまったり、発芽しないことがあります。それを防ぐために、湿らせたバーミキュライトや清潔な砂に球根を埋めて、冷蔵庫内で1~2週間ほどゆっくりかけて吸水させてから植え付けましょう。
鉢植えの場合の用土は軽く湿らせておき、土が球根の上に1cmほどかかる程度に浅く植えつけます。
庭植えにする場合、植えつけ場所にあらかじめ腐葉土を混ぜて有機質をふやし、有機石灰などを混ぜて、酸度調整をしておきましょう。
ガーデニング好きの方はもちろんのこと、贈り物としても◎
用土
用土を中和させる場合は2週間位してから使用するとよいでしょう。
剪定時期
収穫期
品種によってはあまり分球しないアネモネもあるので要チェックです。
アネモネに適した環境
置き場所
とにかく高温多湿を嫌うアネモネの花は、水はけがよく、日当たりも風通しも良い場所を好みます。冬の冷たさを経験しないと咲かない花なのでしっかりと日光に当ててください。
球根を植える深さは、寒冷地では球根の上に7,8cm、東京都付近では約3㎝の土がかかるぐらいでちょうど良いです。あまり深植えすると芽の数も減って、花もあまり咲かなくなってしまうので要注意です。
春夏秋冬のポイント
草丈も切花用から、ガーデニング用まで種類もあるので、毎年楽しませてくれること間違いなしです。
アネモネの育て方
水やり
鉢植えの場合も、表面が乾けば水やりを行ってください。コンテナの場合は鉢底から流れ出すくらいに水やりを行うと良いでしょう。生育期の時は液体肥料だと追肥が可能になります。
商品サイズ:W616 D134 H242mm
肥料
植物は土の中に根を張り、そこから水分や養分、酸素を摂取します。そのため、植物にとって一番大切なのは「土」ということになります。その土に植物が元気に育つための養分が肥料です。
自然界では落ち葉や枯れた植物、昆虫の死骸などが微生物の働きによって分解され養分になりますが、庭や鉢植えの土では養分が十分でないため、足りない栄養素として肥料が必要となります。
鉢植えにおすすめの肥料は、緩効性化成肥料と液体肥料です。液体肥料は、薄めたものを使用します。
緩効性肥料は、徐々に溶けるように加工された肥料です。肥料の表面が樹脂などでコーティングされたもの、錠剤型や球状で成分が溶け出す量をコントロールしているものなどがあります。
地植えの場合は、元肥を用い、あらかじめ土に混ぜておきます。また、アネモネは酸性の土壌を嫌い、弱アルカリ性の土壌を好むため、植えつけの2~3週間前に、苦土石灰で土を中和しておく必要があります。方法は1㎡につき約100gの苦土石灰を入れ、30~40㎝ほど耕しておきます。
牛ふんや腐葉土などの有機質肥料を土の量に対して20%ほど混ぜておきましょう。
※元肥とは植物を植え付けた後、元気に育つようにするためにあらかじめ土と一緒に肥料を混ぜること、混ぜ込む肥料のことです。使い方は土に混ぜて耕すだけですが、市販されている土はほとんどの場合、元肥は含まれているので使い方を詳しく知らなくても問題ありません。
肥料があまりにも少ないと花が咲きませんので、注意が必要です。
花がら摘み
切り方は、土際から茎ごとばっさり切ること。そうすると、2・3番目の花が咲いてきます。
病害
球根が腐る理由と腐らないようにするには!
アネモネは寒さに強く、暑さに弱い草花です。そのため、適期より早い植え付けは、球根を腐らせる原因の1つになります。アネモネの植え付け適期は、10月中旬~11月の終わりくらいです。気温が下がりだしたのが目安となりますので、適期を守って植え付けます。
2.過湿になり過ぎる
仮植えをせずに、そのままアネモネの球根を植え付けた場合や、鉢にアネモネを植えたままにしてしまうと、過湿状態になり、アネモネの球根は腐ってしまいます。
アネモネを丈夫に美しく、長く楽しむには、このポイントは、必ず押さえておきたいところです。
秋は特に長雨になりやすいので、過湿状態にならないよう、十分に気を付けて栽培しましょう。
3.休眠中の球根管理に問題が?
アネモネは花の終わり頃になると葉が黄色くなります。このタイミングで球根は掘りあげて、晩秋に植え付けるまで風通しの良い場所で乾燥させます。
この掘り上げの作業を行わず、植えっぱなしにしてしまうと、アネモネの球根が腐りやすくなってしまいます。ただし、掘り上げずに管理する方法もあります。この方法の場合は、鉢に植えたまま風通しの良い場所に移すのですが、雨の当たる場所だと、2の項目にて記載した通り、過湿になりやすくなるので、出来ることならば、5月下旬~6月の上旬頃までに1度球根を掘り上げ、風通しの良い場所で管理するのが理想です。
掘り上げのポイント!
葉が半分以上枯れてきたら、完全に枯れる前に掘り上げます。
まだ枯れないうちに掘り上げると、球根に栄養を蓄えている途中なので、栄養が少ない球根になってしまいます。球根を堀り上げたら、茎は付け根より少し上で切ります。
アネモネの汁には触れないように気をつけてください(ゴム手袋などの使用をおススメします)
皮膚炎などを起こしてしま場合もありますのでご注意ください。
掘り上げた球根は、子球を指でもぎ取り、ネットなど通気性が良いものに入れて陰干しした後、冷暗所で保管してください。
室内栽培のポイント
アネモネの魅力
ナチュラル花材で人気のユーカリやブルーファンタジアとも相性抜群で、今ではナチュラルテイストには欠かせないお花のひとつになっています。
見た目も豪華絢爛で美しい上に、比較的育てやすいアネモネ。
早春の花壇や鉢植えを彩るアネモネには個性的な品種がたくさんあります。
たくさんの品種の中から自由に選ぶことができるのも、まさにアネモネの大きな魅力!
また、大きく開花したアネモネの姿も魅力的ですが、これから花開こうとしている蕾の姿にも美しさがあります。
ガーデニング初心者の方も、2月~5月頃まで立派に咲いてくれるアネモネから、ぜひチャレンジしてみてくださいね。