ジャガイモの栽培方法とは?プランターで栽培できる?種イモの選び方や植え付けの方法など詳しくご紹介
ジャガイモにはさまざまな品種があり、イモのなかでもあらゆる料理に使われる野菜の定番。化成肥料などで土壌を整えれば、プランターでも比較的簡単に栽培することができます。今回は、種イモから芽を出して植え付ける方法や、芽かき、収穫までの流れを詳しくご紹介します。
ジャガイモとは?
ジャガイモの特徴
英名:Potato
科名 :ナス科
属名: ナス属
原産国:南米アンデス高地
ジャガイモは栄養豊富な野菜。
主成分がデンプンなので、お米や麺類のように、世界中で主食として親しまれています。
糖質もたくさん含んでいてエネルギー満点。さらに、ビタミンCや食物繊維も豊富です。
原産地が南米アンデス高原のジャガイモは、ナス科、ナス属の一年草。
涼しい気候を好むため、春の早い時期から植え付けることができます。
植え付けには種イモを用い、芽かきや土寄せを適切に行うことで、家庭菜園でも収穫することができますよ。
ジャガイモの種類
ここでは、人気の品種についてご紹介します。
・男爵いも
見た目は丸く、ゴツゴツとした形が特徴で、ジャガイモのなかで定番ともいえるのが男爵いもです。
ホクホクとした食感の男爵いもは、コロッケやポテトサラダなどの潰して使う料理や、粉質を活かした粉ふきいもなどに向いています。
・メークイン
男爵いもと同じくらい定番なのがメークインです。
男爵いもとは違い、粘性がありしっとりとした食感が特徴です。
煮崩れしにくいので、カレーやシチューなどの煮込み料理に最適。
また、炒め物にも向いています。
・キタアカリ
ホクホク感があるキタアカリは見た目も男爵いもと似ていますが、男爵いもよりも甘みと香りが強いのが特徴です。
黄色い果肉で、ポテトサラダ、ポタージュなどに向いています。
男爵いもと同様に崩れやすいので、レンジでの調理や、加熱して潰す料理に向いているでしょう。
・インカのめざめ
男爵いものホクホク感と、メークインのしっとり感のちょうど間のような食感がインカのめざめの特徴です。
実は小粒で、甘くナッツのような風味もあります。
どんな料理にも万能なので、スープのような煮込み料理や、揚げ物、またスイートポテトの材料としても向いています。
ジャガイモの栽培スケジュール
芽かき・追肥:(春)4月-5月(秋)9月下旬-10月
収穫期:(春)5月中旬-6月(秋)11月下旬-12月
・植え付け期:(春)3月-4月(秋)8月下旬-9月
ジャガイモの植え付け期は、春と秋の2回ありますが、初めてジャガイモを栽培する方におすすめなのは春の植え付けです。
ジャガイモは暑さに弱いので、夏の終わり~秋の暑さで種イモそのものが腐りやすくなってしまいます。
また、秋は種イモの販売期間や植え付け時期が短いうえ、冬の寒さが早く来た場合にジャガイモが育ちにくく、収穫が難しくなってしまいます。
種イモはホームセンターなどで購入できるので、春間近の暖かくなる前、3月頃に購入して植え付けをしましょう。
・芽かき・追肥:(春)4月-5月(秋)9月下旬-10月
芽かきとは、不要な芽をかき取ることです。
種イモの植え付け後に出てきた芽を、大きなものを2~3本残した状態で根元からかきとります。
こうすることで、良質な実を収穫することができます。
追肥は芽かきが終わったあと、土寄せする際におこないましょう。
・収穫期:(春)5月中旬-6月(秋)11月下旬-12月
春(3月から4月)に植えつけたジャガイモは5月中旬から6月頃、秋(8月下旬から9月)に植えつけると11月下旬から12月頃が収穫期となります。
ジャガイモの品種や、栽培する地域によっても異なりますが、収穫は葉の8割近くが枯れた頃を目安とするといいでしょう。
ジャガイモに適した環境
置き場所(日当り)
そのため、日当たりは重要。
プランターで育てる場合は特に、日当たりのいい場所を意識して置いてあげましょう。
ベランダなどで育てる場合に、注意したいのが室外機からの風です。
ジャガイモは風通しのいい場所を好みますが、室外機からの過剰な温風は、葉を弱らせる原因となってしまいます。
プランターは、室外機から離しておくようにしてください。
畑などで地植え栽培する場合に注意したいのが、連作障害です。
連作障害とは、同じ場所で同じ科の野菜(ジャガイモの場合はトマト・ナス・ピーマンなどのナス科の野菜)を植え続けていると、生育に障害がおこることです。
用土
家庭菜園でジャガイモを育てる場合の用土は、水はけのいい市販の野菜用培養土を使いましょう。
ジャガイモ専用の用土で安心
プランター
幅30~40cmに対して1株が目安なので、幅80cmのものであれば2株植えられます。
また、用土が入った袋のままで栽培する方法もあるので、プランターの置き場所が限られている方にもおすすめです。
充分な深さでジャガイモ栽培にぴったり
用土が入った袋で育てる「ジャガイモ収穫キット」
種イモのみ用意すれば、用土が入った袋に穴をあけ、そのまま栽培容器として栽培を始めることができます。
ジャガイモに適した専用の肥料が入っているほか、詳しい育て方の説明書が付いているので、ジャガイモ栽培が初めての方でも挑戦しやすいでしょう。
ジャガイモの育て方
水やり
その後は少し乾燥気味の状態で育てていくのがポイントです。
なお、水の与え過ぎは種イモを腐らせてしまうので注意が必要です。
水やりは必要最低限にとどめましょう。
肥料
1度目は、植え付けから30日ほど経ったころ。芽かきと同じ時期におこないます。
発芽後20日ほど経つと土中でジャガイモが大きくなりはじめるので、タイミングを逃さないようにしましょう。
なお、プランター栽培の場合、ジャガイモ1株に対して化成肥料約10gが適量です。
株周辺に化成肥料をまいて、用土と混ぜ合わせるようにします。
2度目の追肥は、苗につぼみが付いたころ。1度目の追肥と同様、化成肥料を10g程度、株元の近くに与えます。
ばらまくだけで効果をしっかり発揮
においが少なく、用土にばらまくだけで効果を発揮してくれます。
少量パックなので、プランター栽培の追肥にちょうどいいですね。
チャック付きなのも保存がしやすく嬉しいポイントです。
病害虫
・ソウカ病
ソウカ病とは、イモの表面にかさぶたのような班ができる病気です。
アルカリ性の土壌が原因で起こります。
連作を避けたり、状態のいい種イモを選んだりなどしてあらかじめ対策をしておきましょう。
・疫病
葉などの裏側から病原菌が侵入することで感染するのが疫病です。
疫病に感染すると葉の表面に濃いグレーの病斑ができ、やがて茶色く広がっていきます。
葉の裏側は白いカビのようなものが発生し、症状が進むとジャガイモの表面は黒っぽく変色します。
湿度が高い状態で発生しやすくなるので、排水に気をつけましょう。
・モザイク病
モザイク病にかかると、葉にモザイク状のまだら模様の病斑があらわれます。
種イモがすでにウイルスにかかっていることが原因となることがあるので、無病の種イモ(検定イモ)を使うようにしましょう。
害虫
・アブラムシ
アブラムシが発生しやすい時期は春と秋。
放置しておくとどんどん数を増やし、植物をダメにしてしまうので、見つけたらすぐに駆除することが大切です。
・テントウムシダマシ
テントウムシはアブラムシの天敵で、アブラムシを食べてくれますが、テントウムシダマシはナス科の野菜の葉に発生しやすい害虫です。
幼虫も成虫も葉の裏に発生して葉を食べてしまうので、葉の裏側に重点的に薬剤を散布しましょう。
・ネキリムシ
ネキリムシ(根切り虫)は体長40mmほどの芋虫状の幼虫で、芽生えたばかりの苗を地際で噛み切ってしまいます。
ネキリムシの幼虫は、日中は土の中に潜り込んでいます。
被害を与えた苗の近くに潜んでいるため、土を掘り返して見つけたら捕まえて駆除しましょう。
また、ネキリムシ専用の殺虫剤を使う方法もあります。
・ヨトウムシ
ヨトウムシ(夜盗虫)はその漢字のとおり、夜行性です。
夜になると土から出てきて葉や花を食べて枯らしてしまいます。
ヨトウムシは褐色~黒色、または緑色をしていて毛はなく、サナギになる前は5cm弱の大きな芋虫になります。
卵・幼虫のそれぞれの段階に合わせた方法で駆除しましょう。
ジャガイモの詳しい育て方
種イモ
種イモとは、農林水産省の検査機関による検査に合格したもので、品質が保証されています。
スーパーなどで購入して食べるジャガイモではなく、種イモとして合格証が付いたものを使いましょう。
種イモが大きい場合は切って使いますが、切り口が腐らないよう手入れが必要なので、最初から切らないで済む小さい種イモを選ぶといいでしょう。
目安としては、1kg20個ぐらいのものが適しています。
芽出し
朝から日が落ちる頃まで、日が当たる場所に種イモを並べ、毎日充分に太陽光を浴びせます。
2~3週間ほどでイモから緑、赤、紫色の芽が出てくれば、芽出しは完了です。
芽出しは植え付けの2~3週間前から始めましょう。
必ずしも必要なことではありませんが、芽出しをすることでその後の発芽がそろい、生育状態も良くなります。
なお、夜間は冷えるので室内にとり込むことを忘れないようにしましょう。
種イモを切り分ける(必要な場合のみ)
カットの目安は40g以下になるようにすることですが、大きさに応じて判断してください。
切るときは、芽が均等につくように、へそ(親イモとつながっていた部分)を下にして縦に包丁を入れます。
イモの切った面は腐りやすいので、草木灰をつけて1日天日干しにして乾かしましょう。
植え付け
その後、土を5cmほどかぶせましょう。あまり深い場所に種イモを植えると芽が出にくくなってしまうので、注意してください。
芽かき
硬くて強い芽を2、3本残して、その他を抜きます。
抜くときは、残す芽を手で押さえ、1本ずつ取りましょう。
土寄せ・追肥
このとき、土寄せする土に追肥を混ぜるといいでしょう。
2回目の土寄せは、ジャガイモの背丈が30cmほど成長したときにおこないます。
1回目同様、このタイミングで追肥もあわせておこないます。
摘花
家庭菜園でジャガイモを育てる場合は、花をつけたままでも大きな問題はありませんが、花に行く栄養をジャガイモの生育に行くようにしたいときに摘花をします。
ただ、花を摘むことで葉茎が傷んでしまう危険もあるので、摘花は慎重におこなってくださいね。
収穫
地域やジャガイモの品種にもよりますが、葉が8割ほど黄色くなり枯れてきたら収穫のサイン。
雨の日や雨上がりで土が濡れているとジャガイモは腐りやすいので、晴天で土が乾いている日に収穫しましょう。
収穫したジャガイモは風通しのいい日かげで、土がさらりと落ちるくらいまで乾かします。
その後、風通しのいい冷暗所で保管してください。
プランターでの栽培方法は?
種イモ、用土、プランター、鉢底石、移植ごて、化成肥料
はさみ、じょうろ(ホースリール)
・プランターで栽培する手順
1.種イモの芽出しや切り分け(必要に応じて)は上記の通りです。
芽出しの際、もし屋外に出せる環境がなければ、部屋の窓辺など、日当たりのいい場所に置き、夜間は種イモが冷えないように毛布などで保温します。
2.プランターには鉢底石を入れて培養土を入れ、30cmほど間隔をあけて5~6cmほどの深さで穴を掘ります。
3.種イモの切り口を下にして穴に種イモを植え付けます。
植え付けたら、種イモが隠れるように5cmほど土をかぶせましょう。
4.土を平らにして、水をたっぷり与えて完了です。
その後は、土が乾燥してきたら水を与えるようにして、芽の成長に応じて芽かき、土寄せと追肥を行います。
・プランターで栽培する時の注意点
風通しと日当たりに注意しましょう。
とくに、用土が必要以上に湿っているとイモが腐りやすくなってしまうので、水やりのタイミングには注意が必要です。
プランターで家庭菜園を楽しみましょう!
プランターで栽培する方法のほかに、袋で育てる方法もあるので、お好みの方法で楽しんでみてくださいね。
豊富な品種の中から好きなジャガイモを選び、育てて収穫すれば、料理もより楽しくなりますよ!