トマトの栽培方法とは?初心者でもベランダで栽培できる?プランターで育てるポイントをご紹介
不動の人気を誇るトマトは、家庭菜園に欠かせない夏野菜です。品種も多く、鈴なりに実るのが魅力ですね。地植えに限らずプランターでも栽培しやすく、初心者が収穫の喜びを味わう第一歩としてもおすすめ。今回はベランダ菜園やプランターでの栽培のポイントをご紹介します。
トマトとは?
トマトの特徴
学名:Lycopersicon esculentum Mill.
英名:Tomato
科名 :ナス科
属名: トマト属
原産国:中南米
中南米のアンデス地方が原産と言われるトマト。
学校で育てられることも多く、家庭菜園で育てるにも人気の緑黄色野菜です。
栄養面や機能性に優れており、ビタミンCや、体内でビタミンAへと変化するカロテン、
抗酸化作用をもつリコピンを多く含んでいます。
リコピンの働きは、同じく抗酸化作用があるビタミンEと比べて100倍以上だと言われています。
その優秀さは、よく言われる「トマトが赤くなると医者が青くなる」という言葉からもわかりますね。
トマトの種類
トマトと一言でいっても、その種類はさまざまです。
生食用、調理用、加工用に分けられ、その大半を占める生食用は主に大玉、ミディトマトとも呼ばれる中玉、ミニトマトの大きさで分けられます。
そのほか、ピンク色系、赤色系、緑色系など、色でも分けられます。
おすすめの代表的な品種をご紹介します。
・桃太郎
市場に出回るトマトのなかで、最も一般的な大玉トマトです。
桃太郎を小さめに作り、糖度を凝縮させたものは「フルーツトマト」の一種となります。
・フルティカ
2008年に登録された、比較的新しい品種のミディトマトです。
生のままでも食べやすいクセのなさや甘みが特徴です。
・アイコ
卵形で、歯ごたえがしっかりあるミニトマトです。
その形から「ロケットミニ」と言われることも。
色違いの黄色い品種、「イエローアイコ」も人気です。
栽培する場合は、プランターで育てやすいミニトマトから始めるのがおすすめです。
大玉の品種に比べて糖度が高い上に、強く傷みにくいという特徴があり、初心者でも安心して育てられますよ。
トマトの栽培スケジュール
・種まき期:3〜5月中旬
・植え付け期:4月下旬〜6月
・収穫期:6月下旬〜10月上旬
中南米が原産の野菜であるトマトは、日本の高温多湿な時期(特に梅雨から夏にかけて)の生育は難しくなります。
しかし霜に対する弱さも考慮すると、地域や品種によって多少違いはありますが、家庭菜園の場合は上記のような栽培スケジュールが一般的です。
なお、トマトは長期間に渡って収穫をでき、抜き取りの時期は生育状態をみて判断します。
8月以降に病害虫に侵されることがあれば、そのタイミングで抜き取りましょう。
トマトに適した環境
置き場所(日当り)
乾燥し、多日照気候の中南米で育ったトマトは、日当たりがよく風通しのいい場所を好みます。
ただし、ベランダで育てる場合は、室外機の風が当たらないところをトマトの置き場所としましょう。
室外機からの風は不自然に強く、熱風になることもあります。
土が乾燥しすぎるとトマトが弱ってしまうため、注意が必要です。
用土
トマトは多湿な環境を嫌うため、用土は水はけを良くすることが大切です。
栄養のバランスよく元肥料が配合されている、市販の培養土を使うと良いでしょう。
自分で作る場合は赤玉土(小粒)6:腐葉土3:バーミキュライト1の分量で作ります。
ベランダ栽培なら軽い土を選びたい
ベランダ栽培にもおすすめの軽い土が特徴。
土を袋に入れたまま作物を栽培する「袋栽培」も可能です。
プランター
トマトは根が深く伸びるため、プランターには土をたくさん入れる必要があります。
また、土を多くすることで、肥料や水分をしっかり保たせることにもつながります。
丸型なら10号サイズで深さが30cm以上のもの、長方形なら幅、奥行き、高さ、それぞれが30cm以上ある大きめのプランターを用意しましょう。
土の量に対する目安は、15Lに1株です。
移動にも便利なタイプ
ベランダでの移動にも便利な持ち手付きのタイプです。
底あみがついているため、鉢底石を利用する必要がありません。
トマトの育て方
水やり
トマトへの水やりは1日に1回、トマトが光合成を始める朝の早めの時間に行います。
土の表面が乾燥していることを確認し、たっぷりと全体に水やりをしましょう。
量の目安は、プランターの底から水が流れ出す程度です。
葉にはかからないよう、根元に与えていきます。
また、甘いトマトにするには水分を制御するのがコツだと言われています。
夏も朝に1回の水やりで問題ありません。
梅雨はあまり雨の当たらない軒下などに移動させましょう。
雨にたくさん当ててしまうと、実割れや病気の原因になる恐れがあります。
肥料
トマトの実を大きく育てるためには肥料が欠かせませんが、元肥料は控えめにし、追肥で補って行くことが大切です。
生育し始めの段階で肥料が多すぎると、葉ばかりがしげる「つるボケ」になる恐れがあるためです。
元肥の栄養を使い切るまでは約3週間。その後は追肥で栄養を補っていきます。
追肥のタイミングは開花後、実が付きだした頃です。
実がピンポン玉ほどの大きさになったら追肥を始めましょう。
追肥の頻度はプランター栽培の場合、化成肥料なら1度、液体肥料なら1週間に1度が目安になります。
地植えなら2〜3週間に1度、化成肥料などを与えます。
水で薄めるだけの液体肥料
水で薄めるだけで使える液体肥料です。
糖度をあげる。収穫量を増やすなどの効果を期待できますよ。
病害虫
育てやすいイメージがあるトマトですが、病気や害虫に注意する必要はあります。
・病気
青枯れ病:株が緑色のまましおれてしまい、枯れてしまう病気です。
うどんこ病:葉の表面に白いカビが発生する病気です。
その他、褐色腐敗苗、尻腐れ病 など。
・害虫
アブラムシ:体長3mm程度の小さな虫が葉裏や新芽に集団で付き、吸汁してしまいます。
コナジラミ:体長1〜2mm程度の白い羽をもった虫が、葉裏に集団で付き、吸汁してしまいます。
その他、ハダニ など。
トマトの詳しい育て方
種まき・育苗
まず3号ポット(9cm)や箱まき用の箱に直径3cmほど、深さは1cmほどの穴を堀り、3粒ほど種をまきます。
それからたっぷりと水やりをしましょう。箱まきの場合は、種まきの間隔は1cmずつにします。
種まきをした後は、発芽適温である20〜30度に保温して育てる必要があります。
ビニール温室などのあたたかい環境作りを心がけましょう。
育苗中は、第一本葉が出始めたら間引きをします。
第二本葉が出始めたら箱まきの場合は3号ポットに移植。
本葉が4〜5枚になったら鉢上げし、12〜15cmポットで定植期まで育てます。
第一花房、第一花が咲き始めたら定植して問題ありません。
種まき期を過ぎてしまった場合や、育苗時にあたたかい環境を作れない場合は、園芸店やホームセンターで苗を購入して育てることをおすすめします。
葉の色が濃く葉に厚みがあり、子葉がついていて花の蕾があるものを選びましょう。
病害虫がついていないことも確認します。
初心者の場合は、病害虫に強い接木苗の使用もおすすめです。
植え付け
植え付けの前の準備として、用土をきちんと用意しましょう。
植え付けの2週間以上前に、1平方メートルあたり150gほどの苦土石灰を混ぜて耕します。
1週間前には3〜4kgの堆肥と元肥を混ぜて耕しましょう。
元肥は肥料化成肥料とリン酸質肥料を混ぜ、その割合は化成肥料(8:8:8)は150g、リン酸質肥料は30gにします。
用土の準備ができたら植え付けです。
地植えの場合、水はけを促すために高めに土を盛って畝を作っておきます。
さらにシルバーマルチを使用すると、病害発生の予防になるためおすすめです。
そしてプランターと地植えどちらの場合も、苗にたっぷりの水を含ませて植え付けます。
根が切れたり茎が折れたりしないように優しく扱います。
地植えの場合、植え付けの間隔は50cmほどあけましょう。
植え付けたら、苗が倒れないように根元に土を寄せかけます。
それからさらにたっぷりと水をやり、根を土になじませます。
植え付けの際のポイントは、地植えの場合は花房が畝の外側向きになるように、プランターの場合は花房が手前になるように植えること。
花や実は同じ側に付くため、こうすることで収穫をしやすくなるのです。
ばらまくだけの簡単肥料
元肥や追肥として利用できる、ばらまくだけの化成肥料です。
腐植酸が入った緩効性肥料で、栄養分の効率良い吸収に効果を期待できます。
支柱・誘引
植え付けを終えたら、トマトが伸びてきても倒れないように支柱を立てましょう。
苗から5cmほど離したところに支柱をさし、支柱と苗の茎を麻紐で8の字になるように結んで誘引します。
成長すると茎が多少太くなるため、ゆるめに結ぶのがポイントです。
成長に合わせて、支柱に20〜30cm間隔で結んでいきましょう。
組み立て不要の設置らくらく野菜棚
開いて土に挿すだけで使える支柱です。
自由に曲げていろいろな形で使用することができ、野菜棚も簡単に作ることができます。
芽かき
トマトの生長に合わせて、わき芽かきを行っていきます。
取り除くべきかき芽は主枝の本葉のつけ根から生えてくるので、すべてかきとりましょう。
芽かきをすることで、葉の風通しが良くなります。
かき芽が伸びてくると本葉との見分けがつきにくくなるため、かき芽が小さいうちの早めの芽かきが大切です。
また、芽かきは晴れた日の午前中に行うようにしましょう。
芽かきを行った傷口が乾きやすく、病気の予防につながるためです。
なお、ハサミで切ると傷口からでた樹液を介して、病気になる恐れがあるので、手で摘み取るようにしましょう。
摘芯
支柱よりも主枝が高くなったり、伸びすぎて手が届かくなったりしたら摘芯を行います。
4〜6段目の花房が咲きだした頃、その上の葉を2〜3枚残して主枝の先端を摘み取ります。
こうすることで、実に養分が行き渡りやすくなるのです。
着果促進
トマトはそのままでも自家受粉する植物ですが、第一花房をしっかり受粉させないと、つるぼけが起こってしまいます。
また、より多くの実を育てるためにも着果促進を行いましょう。
花が開いた段階で花を軽くはじいたり、支柱を叩いたりする振動受粉が一般的です。
花粉が出やすい晴れた日の朝に行うのがおすすめですよ。
さらに、着果ホルモン剤処理を行います。1花房内で2〜3花が開花した時に噴霧。
ただしこの処理は、3段花房までにしましょう。
また、多く結実した果房は、摘果が必要になります。
手軽に使えるスプレータイプ
スプレー剤として、希釈せずにそのまま使える着果ホルモン剤です。
トマトの着果促進や、果実を肥大させる効果を期待できます。
摘果
大玉トマトの栽培の場合、実が1房に4〜5個になるように摘果しましょう。
残った実に栄養が行き渡り、より大きく甘い実になります。
小さい実、形が悪い実を中心に摘み取っていきましょう。
その後、完熟したものから収穫していきます。
開花してから55〜60日後、茎との付根であるガクが反り始めたら収穫のタイミングです。
トマトは昼に光合成した養分を夜に実に蓄えるため、早朝に収穫することでより美味しく食べられます。
ミニトマトは収穫のタイミングを逃すと、実が割れたり落ちたりしてしまうので、注意しましょう。
プランターでの栽培方法とは?
トマトをプランターで栽培する場合、準備するものに少し違いがあります。
準備するもの
苗、プランター、用土、肥料、鉢底石、支柱、ひも、ハサミ など。
地植えでは使わずにプランター栽培で使用するもののひとつが「鉢底石」です。
鉢底石はその名の通り、プランターの底にしいて使います。これは土の排水を促すためです。
再利用もできるものなので、使用の際は土と分けて使うのがおすすめですよ。
その他、プランターでミニトマトの栽培を考えている場合は「ハサミ」も準備すると良いでしょう。
本来かき芽などは手で行いますが、ミニトマトは枝が太く、手で折り取るのが難しいためです。ハサミの使用の際は病気予防のために、アルコールなどで除菌してから使用しましょう。
基本的には地植えでもプランターの栽培でも育て方に大きな違いはありませんが、置き場所には注意が必要です。
地植えに比べて小さなスペースでの栽培になるため、土が乾燥しやすくなります。
ベランダに置く場合は、先述したように室外機の近くに置かない、太陽光が一方向から当たりすぎないようにするのがポイントです。
太陽光が一方向から当たっている場合は、プランターを移動させたり、回転させたりして対応しましょう。
初心者でも大丈夫!家庭菜園でトマト栽培をより簡単に行うには
トマトの栽培について、地植えやプランターでの栽培方法、種から育てる方法についてもご紹介してきましたが、あらためて見るとその栽培方法が難しく感じられた方もいるかもしれません。
そこで初心者の方におすすめしたいのが「大苗」からのスタートです。
大苗とはその名の通り、大きく育った苗のこと。
収穫までの期間がその分短くなり、より安心して簡単に栽培することができます。
大苗の栽培で慣れてきたら、今度は苗からというのもおすすめです。
ベランダでのプランター栽培も可能なトマト。
その栽培は初心者には優しく、より美味しい実をつけて極めようとすると、奥が深い野菜とも言われています。
ぜひとも家庭菜園に取り入れ、フレッシュなもぎたてトマトで食卓を彩ってはいかがでしょうか。
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