人参(ニンジン)の栽培方法は?種まきの時期に注意!プランターでも栽培できる人参の育て方をご紹介!
根が主食の人参は、緑黄色野菜。近年はミニニンジンの種など、プランターでも栽培しやすい品種が家庭菜園に人気です。タネまきは春まきと夏まきがあり、間引きを行います。また、発芽させるには土づくりが大きなポイント。人参のタネまきから収穫、害虫について紹介します。
目次
人参(ニンジン)とは?
家庭菜園でも人気がある人参の基本的な特徴を知っておきましょう。
人参(ニンジン)の特徴
和名/別名ニンジン
英名Carrot
原産地/生産地アフガニスタン
分類/セリ科ニンジン属
発芽地温/15~25℃
生育適温/20℃前後
家庭の食卓に欠かせない人参は、セリ科ニンジン属の野菜です。
元々は中央アジア、アフガニスタンの山麓が原産地。
そこからヨーロッパとアジアにそれぞれ伝わったと言われています。
ヨーロッパに伝わったものは、西洋種(短根種)といい、長さが15~20センチ。
一方、シルクロードから中国に伝わったとされる東洋種(長根種)は60~70センチと長いのが特徴です。
現在、栽培の主流となっている人参は西洋種で甘みが強く、人参特有の臭みも少ないため、世界中で好まれています。
ただし、東洋種の金時ニンジンはお正月のおせちに使われることが多く、日本でも一部地域で栽培されています。
人参は、代表的な栄養素であるβカロテンをはじめ、食物繊維、ビタミンB2など、豊富な栄養素をたっぷりと含んだ緑黄色野菜です。
皮の周りに多く含まれるβカロテンはビタミンAに変わる性質があるため、抗酸化作用や抵抗力を強める効果が期待されます。
また、大切な栄養素は油と一緒に接種した方が吸収がよいため、炒め料理などにおすすめです。
栽培方法ですが、種は春まき、初夏まき、夏まき、晩夏まきがあり、初心者は夏まきで秋冬刈り取りが失敗も少なく、安心して挑戦できるでしょう。
人参はほかの根野菜のように連作障害がないので、引き続き同じ場所で栽培することが可能です。
人参(ニンジン)の種類
スーパーでよく見かけるオレンジ色の「五寸ニンジン」は短根種で、もっとも主流の人参。
同じ短根種の「ベビーキャロット」、「平安三寸」といった、ミニニンジンも一般的な品種です。
長根種では濃い赤色をした金時ニンジンが、おせち料理などで食べられます。
そのほか、珍しい品種として、黄色い島ニンジン、紫ニンジン、白ニンジンなどが一部の地域などで栽培されています。
家庭菜園やベランダ菜園を楽しむ場合、プランター栽培できるミニニンジンがおすすめ。
「ベビーキャロット」も「平安三寸」も長さが10㎝程と小型なので、プランターのほか、牛乳パックでも育てることが可能です。
「ベビーキャロット」は収穫までの期間が70日~80日と比較的短く、味も甘みがあり柔らかいため、サラダなどの生食でも楽しめます。
「平安三寸」は、収穫期間が85日~90日と「ベビーキャロット」よりも少し長め。
味がしっかりとしており調理向きです。
人参(ニンジン)の栽培スケジュール
人参の種まきは3月ごろ行う春まき、8月ごろに行う夏まきに分かれます。
地域によって多少ずれることがありますが、この時期の種まきが基本となる作型です。
・春まき
種まき期:3月~4月
間引き:4月下旬~5月中旬
追肥:5月
中耕・土寄せ:5月
収穫:1月上旬~2月下旬
・春まき(初夏まき)
種まき:5月中旬~6月下旬
間引き:7月
追肥:7月下旬~8月上旬
中耕・土寄せ:8月下旬
収穫:9月中旬~10月下旬
・夏まき
種まき:8月
間引き:9月中旬~10月中旬
追肥:9月下旬~10月下旬
中耕・土寄せ:9月下旬~10月下旬
収穫:12月~2月下旬
・晩夏まき
種まき:9月
間引き:10月中旬~11月中旬
追肥:11月下旬~12月上旬
中耕・土寄せ:12月
収穫:1月~3月上旬
春まきは発芽が早いですが、とう立ちと言って花が咲いてしまうことがあるため、初心者は失敗のリスクが少ない夏まきがおすすめです。
人参(ニンジン)に適した環境
ここでは、初心者でも上手に育てるためにはどのような環境が適しているかをご説明します。
人参(ニンジン)の置き場所
また、冷涼な気候を好む性質があり、20℃前後が生育適温です。
そのため、時期は春と秋が育成適期になります。
人参(ニンジン)の育て方
ここからは種まきのための土作りから育て方のポイント、収穫など人参の栽培に必要な方法を詳しくご紹介していきます。
人参(ニンジン)の土作り・肥料
種まきの2週間以上前に完熟堆肥、苦土石灰を用土によく混ぜ込んでおきましょう。
プランターで栽培する場合、土は野菜用培養土でよいです。
畑など地植えする場合は、堆肥や元肥を入れる約2週間前に石灰を入れて耕します。
未熟堆肥は又根の原因になるので、完熟堆肥を使いましょう。
・地植えの土作りスケジュール
1.種まきの2週間前に完熟堆肥3~5キログラムと苦土石灰約100グラムを入れてよく耕す。
2.1週間ほど経ったら、元肥に化学肥料100グラム。
過リン酸石灰約30グラムを混ぜてよく耕す(ゴロ石などは又根になりやすいので取り除く)。
3.畝を立て、種まきに備える。
人参(ニンジン)の種まき
人参の栽培はタネまきが重大なポイントです。
ちゃんと発芽できるかどうかはタネまきの仕方次第なので、正しい方法を覚えておきましょう。
・ひとつの畝に20センチほど間隔をあけて、2列の溝をつくる。
・人参の種を並べて置く。この時、2~3センチの間隔で置くと後から間引きの手間が省ける。
・0.5~1センチほど薄めに用土を覆って、タネを乾燥させないようにする。
・発芽するまで、1週間ほどは毎日水やりすること。
人参は好光性種子です。同じ根野菜の大根は地中深く埋めても芽が出ますが、人参の場合、日光を感知しないとなかなか発芽しません。
そのため、種に光が当たりやすいように軽く土をかけることが大切です。
また、乾燥も人参の発芽の妨げになります。
地植えの場合は更に敷き藁などで乾燥させないようにするとよいでしょう。
もし、タネをまいて10日以上芽が出なかったなら、発芽に失敗したかもしれません。
そうなった場合は思い切って、種をまきなおすことをおすすめします。
人参(ニンジン)の水やり
土が乾燥しないよう、タネまきから1週間ほどは、ジョウロなどで毎日水やりしましょう。
地植えの場合も雨が降らなければ、毎日水を与えます。
発芽してからの育成後期は多湿にならないよう、土が乾いてから水やりするのがポイント。
水はけの悪い畑は水の与え過ぎに注意しましょう。
水がこぼれにくく、ベランダ菜園にもオススメ
容量たっぷりの6Lタイプで、畑の水やりにも最適。
底面内臓のフックにより、フェンスやラティスにかけて保管することもできます。
ベランダ・屋外ガーデンにピッタリな4Lタイプもありますよ。
人参(ニンジン)の間引き・追肥・土寄せ
・1回目…本葉が1~2枚になったら、込んでいる部分をすくうよう間引く
(短根種は1~5センチ間隔、ミニニンジンは1センチ間隔)。
・2回目…本葉3~4枚のころ、葉同士が重ならない程度に間引く
(短根種は3~4センチ間隔、ミニニンジンは2~3センチ間隔)。
・3回目…本葉5~6枚のころに間引く
(短根種は10~12センチ間隔、ミニニンジンは6~8センチ間隔)。
土が乾いた状態だと間引きしにくいので、あらかじめ水やりしてから行いましょう。
雑草もしっかりと抜き取っておきます。
2回目と3回目の間引きした後に2週間ほど間隔をあけて、追肥します。
約1平方メートルに化学肥料約50グラムをまき、土とよく混ぜれば完了です。
追肥の際、根首に光が当たったり、外気に触れたりすると緑化や紫色に変色しやすいので、必ず人参の根が地上に出ないよう注意が必要です。
畝を軽く耕して株元に土寄せすることで、色が変わるのを防げます。
人参(ニンジン)の病害虫
ネキリムシ…発芽後の若い苗を食べる
キアゲハ・キンウワバの幼虫…葉を軸だけ残して食べつくす
ニンジンアブラムシ…心葉に集中して寄生し、育成を止まらせる
ヨトウムシ…夜になると土から出て、葉をボロボロに食い尽くす
ネコブセンチュウ…寄生されると黒葉枯病、つる割病などの土壌病害を引き起こす恐れがある
・対策
ネキリムシ、キアゲハ・キンウワバの幼虫、ニンジンアブラムシは見つけたら手で捕殺するか、殺虫剤をあらかじめ散布して駆除します。
ネキリムシは日中は地中に潜っているので、苗の根元を掘って捕まえましょう。
ヨトウムシも夜間に活動し、昼は土に隠れてしまうため、苗元の土中を探します。
成虫であるヨトウガが飛来しないよう、防虫剤を葉に散布しておくのもおすすめです。
ネコブセンチュウの駆除は薬剤を使わない場合、対抗植物を植えることである程度の発生を抑えられます。
マリーゴールド、ハブソウやクロタラリアなどが、ネコブセンチュウ対策に有効でしょう。
うどんこ病…葉の表面に白色のカビが点在し、枯れあがってしまう場合もある。
黒葉枯病…葉や茎に褐色、または黒褐色のカビが発生し、葉部分は黄色く変色してしまう。
葉が枯死してしまうため、根の生育が悪くなる。
乾腐病…土壌中のカビによって根部分に病斑ができ、悪臭を放ちながら腐ってしまう。
土の中で発症するため、発見が遅れてしまいがち。
・対策
うどんこ病、黒死病は薬剤散布します。
多発すると防除が難しいので、必ず初期の段階で対策しましょう。
乾腐病は発生してしまうと薬剤が効かないので、予防が大事です。
プランター栽培の場合、古い土を使わず、毎回取り換えて土壌を清潔にしましょう。
人参(ニンジン)の収穫
その頃が収穫のタイミングなので、根が太ったものから収穫しましょう。
目安としては、地上部分に出ている根が4~5センチほどのものを少し掘ってみて、根元を確認するとよいでしょう。
根元を掘ってから、茎の下部分をまっすぐに上に引き抜きます。
人参が成長し過ぎると裂根と言って根元が割れてしまうため、取り遅れには十分気を付けてください。
乾燥させないために収穫しない場合は彫った土を掛けて元に戻すことも忘れずに。
秋に貯蔵するなら、掘り下げた人参を1か所にまとめて、上から土を掛けておきます。
自分で人参を育てて、収穫まで楽しもう
自信がないという方は、プランターや牛乳パックなどでミニニンジン栽培から始めてみましょう。
たくさんの栄養がギュッと詰まった人参を調理するのはもちろん、生サラダでもたっぷりと味わってくださいね。